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    人魚 染野太朗

    2017.06.03 Saturday 14:15
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      「人魚」 染野太朗 KADOKAWA

      染野太朗氏第二歌集。

      まずは十首選。(めちゃくちゃ悩みました)

      早さではなくて想いがほしいのだが 欲とは初夏の水に似ている

      思いきり息を吸い込みこの肺の小さきことを冷たきことを

      夕焼けに手を振るような恥ずかしさ君が欲しいと強く思えば

      尾鰭つかみ人魚を掲ぐ 死ののちも眼は濡れながらぼくを映さず

      海を見に行きたかったなよろこびも怒りも捨てて君だけ連れて

      カーテンが冬のひかりを溜めていく ことばにならぬ感情はない

      唐揚げと昆布巻きひとつずつのこる食卓 苦しいな家族は

      好きなものを好きと言えないわたくしを仏像として拝んでほしい

      夕空がぼくよりぼくであることのふいにあふれてきたりあなたは

      消えざれば声にはあらず まだだ、まだ足りない、と声 火のように声



      6章からなる読みごたえのある一冊です。

      恋人とのこと、教師としての仕事のこと、歌人としての仕事のこと、両親のこと。
      様々なテーマがときに息苦しいほど迫ってきます。

      実体験と密になった描写、たとえば上記の二首目のように肺の小ささを呼吸で感じたり、
      コーヒーのグラスを覆う水滴の海の記憶に指は冷えたり とグラスの水から海を連想したり。
      読み手に伝わるダイレクトさがあります。

      上記の三首目、九首目のような、感情の高ぶりをどこか客観的に見ているような、自分を突き放しているような歌も目立ちます。

      家族に対する混沌とした感情は、誰しも経験があるのでしょう、特に血のつながりのある相手に対しての愛情と鬱陶しさが、読んでいて苦しい。まるで自分のことのように思えてしまいました。

      震災のときの歌も前半に目立ちます。
      生徒と非難しながら、やはりどこか客観的に自分たちを批判・非難しているようなところだったり、なんだろう、シニカル? 自分を甘やかさない方なのかなあ。

      結局人魚ってなんなのかなあ。

      全体を通して、靴両呂気になります。なんだろう、こう、むずかしい。

      うーんうまくいえない。
      また後で書きなおしにきたいですが、ひとまずたたき台として。




      category: ├  短歌 | by:千束comments(0) | - | -

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